介護施設を検討するとき、多くの方が気になるのが「費用」です。
「入居一時金って何?」「月額はいくらぐらい必要?」「公的な支援はあるの?」など、初めて施設を探す方にとっては分かりにくいことばかり。今回は、介護施設の費用の基本から、負担を軽くするための制度や工夫について、分かりやすく整理してお伝えします。

1. 介護施設の費用の基本
介護施設の費用は、大きく分けて次の3つの要素から成り立ちます。
- 入居一時金
主に介護付き有料老人ホームなどで必要となる初期費用。0円の施設もあれば、数百万円以上かかる施設もあります。契約内容によっては退去時に一部返還される場合もありますので、契約前に必ず確認しましょう。 - 月額費用
家賃や管理費、食費、生活支援サービス費などを含みます。目安として、住宅型やサービス付き高齢者向け住宅では10万~20万円前後、介護付き有料老人ホームでは15万~30万円前後かかることが一般的です。 - 介護サービス利用料
介護度に応じて発生する費用です。介護保険が適用されるため、原則1割(所得により2割・3割)負担となります。
2. 施設の種類ごとの費用の違い
前回の記事でも触れた施設の種類ごとに、費用の傾向を整理してみましょう。
- 介護付き有料老人ホーム
介護サービスが施設内で完結するため安心感が高い分、費用はやや高め。月額15万~30万円前後。 - 住宅型有料老人ホーム
生活の場を提供し、必要な介護サービスは外部事業者を利用。月額10万~20万円程度。 - サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)
比較的自立して生活できる方向け。月額10万~15万円程度で、介護が必要になれば訪問介護などを追加。 - グループホーム
認知症の方を対象に少人数で生活。月額12万~18万円程度。
このように、施設によって費用の仕組みや目安は大きく異なります。
3. 公的制度を活用して費用を抑える
介護施設の費用は決して安くありませんが、実はさまざまな制度を活用することで負担を軽減できます。
- 介護保険
施設で受ける介護サービスの大部分に適用され、自己負担は1~3割。要介護度に応じた支給限度額内で利用できます。 - 特定入所者介護サービス費(補足給付)
所得や資産が一定以下の方は、食費や居住費が軽減されます。生活保護を受けている方も対象。 - 高額介護サービス費制度
1か月に支払う介護サービス費が高額になった場合、上限を超えた分が払い戻されます。 - 医療費控除・介護医療院の利用
医療的ケアが必要な方は、医療と介護が一体となった施設を利用することで費用負担が安定する場合もあります。
4. 費用面で失敗しないためのチェックポイント
介護施設を選ぶときは、以下の点を確認しておくと安心です。
- 入居一時金が必要かどうか(0円プランがあるか)
- 月額費用に何が含まれているか(食費・光熱費・医療費など)
- 将来的に費用が増える可能性(介護度が上がった場合の加算など)
- 契約解除時の返還制度(途中退去の際に返金があるか)
特に「月額はいくらかかりますか?」という質問の答えだけで判断せず、内訳をしっかり確認することが大切です。
5. 費用負担を軽くするための工夫
介護費用の心配は多くのご家族に共通するものですが、いくつかの工夫で負担を軽くすることが可能です。
- 家族で費用を分担する仕組みを話し合っておく
- 不動産や年金などの収入を上手に活用する
- 必要に応じて成年後見制度や身元保証サービスを利用する
- 生活保護受給中でも利用できる施設を検討する
- 見学時に「追加費用が発生しやすいサービス」を確認しておく
また、地域によって行政の支援制度が異なる場合もあるため、各自治体の窓口に確認しておくと安心です。
まとめ
介護施設の費用は「高い」というイメージがありますが、種類ごとの違いや制度を理解すれば、思った以上に負担を抑えられるケースも少なくありません。大切なのは、「なんとなく」で決めずに、具体的な金額や制度をしっかり把握して選ぶことです。
よくある失敗のひとつに「初期費用の安さだけで決めてしまい、結果的に毎月の費用が想定以上に高くついた」というケースがあります。逆に「月額費用は安いが、介護度が上がった途端に追加費用が増え、予算を大きく超えてしまった」というご相談もあります。契約前に将来を見据えて確認しておくことが、後悔しない施設選びにつながります。
「けあすむ」では、ご相談いただいた方の状況に合わせて、費用面も含めた最適な施設をご提案しています。負担を少しでも軽くし、ご本人・ご家族が安心して暮らせるよう、引き続きサポートしてまいります。